最近、図書館における複写範囲について混乱したので、そのお話を。
結論から言うと、
図書館が主体となって複写する場合:研究目的に限り、一作品の半分以下まで複写可能
個人が主体となって複写する場合 :私的利用に限り、一作品すべて複写可能
一作品の半分以下とは、小説なら長編短編に拘らず全体の半分以下、地図ならそのページの半分以下、4コマ漫画なら2コマ以下、俳句・短歌も五・七・五(・七・七)の半分以下となります。
後半は冗談みたいな話ですが、厳密にはそうなります。
九曜は上記の結論に、なかなか納得がいきませんでした。
と言うのも、基本的には複写は全面的に禁止で、図書館という特別な空間においてのみ著作権が限定的になる(=複写に関して寛容になる)、と理解していたからです。
そんなわけで、著作権法に詳しい方に聞いてみました。
回答としては「著作権者にどれだけ経済的損失があるか」とのこと。
『私的利用に限り全文複写可能』と聞くと、「え、そんなことしていいの!?」と驚きますが、ポイントは『私的利用』。
私的利用しか認められていないので、公開することは勿論、人に見せることもできません。はっきり言って、いったい何ができるのか? というレベルです。
さて、一方、図書館が主体となって複写する場合。
こちらは極端な話、図書館という誰でも利用できる施設で、『ご自由に複写してください。ただし、半分以下までね』と言っているようなもの。
そして、研究目的なら、そこそこいろんなことができます。
まとめると、
図書館での複写:半分以下の範囲とは言え、複写が大量に生産される
個人での複写 :全文複写できるけど、ほとんど利用方法がない
どちらが著作権者の経済的損失が大きいかは一目瞭然ですね。
こういう理由によって、図書館では半分以下、個人なら一作品丸ごと複写可能となっているようです。