Super Feelinng

昨日の夜の母が倒れ、少しばたばたしておりました。
 
更新にはもうちょっとかかりそうなので、お詫びの男の娘SSその2.
ちょっと長いです。
 
もうストックはないのであしからず。
 

 小日向さんに僕の趣味がバレてしまった翌日――、
 月曜日の昼休み。
「はぁ……」
 僕は盛大にため息を吐いた。
 あのときはそこまで考えが及ばなかったけど、実はけっこう追いつめられていることに気がついた。だって、小日向さんが誰かに喋って、そこから学校中に知れ渡るという事態も十分にあり得るのだから。
 そのことに気がついたのが登校途中。一瞬引き返そうかとも思ったけど、さすがにそういうわけにもいかず。というか、そうしたところで根本的に何の解決にもなっていない。仕方なく覚悟を決めて教室に入ってみたけど、特にそういう様子はなく今に至っている。
 いや、まだ油断はできない。今まさに浸透しつつあるのかもしれない。
「はぁ……」
 それを考えると、僕の口からは自然とため息が漏れた。
「おいおい。それで今日何度目だよ」
 呆れたように言ったのは、さっきまで一緒に弁当を食べていたクラスメイトだ。
 互いに弁当を食べ終わった今は、特に何かすることがあるわけでもなく、くだらないことを話している。尤も、喋っているのは一方的にそいつ。自分のことで手いっぱいの僕は、それを右の耳から左の耳へ聞き流すだけ。
「悩みか、恋の?」
「半分当たり、半分はずれ」
 そんないいものじゃないし、それだったらどんなに幸せか。
「よし、俺に話せ。聞いてやろう」
「やなこったい」
 人に助けてもらって何とかなるようなら、喜んで話すんだけどな。あいにく話せるような類のものでもないから、ひとりで何とかするしかない。というか、よくよく考えたら努力でどうこうできる問題ではないんじゃなかろうか。うわ、最悪だな。
「んじゃ、せめて学校帰りにぱーっと遊びに行くか、気晴らしによ」
「んー?」
 僕は机の上においてあったペットボトルのお茶に口をつけ、曖昧に返事をした。
 それも悪くはないかもしれない。ただ、気は晴れても、事態の解決にはならないんだよな。
「せっかくだから誰か女の子も誘うか」
「お前、また僕をダシに使う気じゃないだろうな」
 実はこいつはこれでなかなかにユーモアがあって、積極的なところも意外に女の子受けがよかったりする。そこに加えて、女顔の僕がいると全体的に人畜無害そうに見えるのか、誘えば女の子はけっこう乗ってきてくれるのだ。
 いい迷惑と言えばいい迷惑。でも、そのおかげで僕も女の子と遊びに行く機会が増えているのも確かだ。
「実は今、ちょっと考えてることがあるんだ」
「んだよ」
 どうせろくなことじゃないんだろうけどさ。
「お前がいたら、あの小日向先輩も誘えるんじゃないか?」
「ぶ……っ」
 僕は危うく飲もうとしていたお茶を吐き出しかけた。げほげほとむせる僕にかまわず友人は熱く語る。
 やれ小日向先輩は学校一の美女だとか。
 やれ小日向先輩は男子生徒全員の憧れの的で、一年にとっては高嶺の花だとか。
 やれ小日向先輩と一度でいいからゆっくりお話したいとか。
「穂村もそう思うだろっ」
「はは、どうだろーなー……」
 乾いた笑いしか出てこなかった。
 そりゃ僕だってご多分に漏れず小日向さんに憧れる男のひとりだ。機会があったらお近づきになりたいと思っているけど、どうせ遠くから見ているだけがいいところだろうなぁ、なんて思ってもいた。
 でも、そんな憧れも今日の朝までの話だ。今は単なる悩みの種。考えたくもない。
「なんだよ、ノリ悪ぃなー」
「まぁね」
 自分の前髪を指でいじりながら、テキトーに答える。
 色素が薄くて、光の加減によってはブラウンにも見えるソフトウルフ。指に巻きつけ引っ張ってみる。けっこう伸びてきたな。これ以上伸びたらウィッグをつけるのに邪魔になるかも。そろそろ切るか。
 そんなことを考えながら、実は軽く現実逃避。
 と、そのとき――、
「おーい、穂村ー」
 教室の入り口の方から別のクラスメイトに呼ばれた。
「お前にお客さんだー」
 お客さん? はて、誰だろう。中学のとき同じクラスだったやつでも訪ねてきたのだろうか。
 友人にひと言断ってから席を立ち、そちらへ向かう。
「おい。どういうこったよ? なんであの人がお前を訪ねてくんだ?」
 途中、僕を呼んだやつがすれ違いざまに言った。
 あの人って、いったい誰だ?
 首を傾げながら廊下に出てみて、その意味がよくわかった。
「こ、小日向さん……」
 そこにいたのは只今絶賛僕を悩ませ中の小日向彼方その人だった。
 廊下で周囲の注目を集めながら立っている。当然だ。一年のクラスが集まる校舎に三年がやってくることは珍しく、しかも、それがあの小日向さんなのだから。
 大人びた上級生の雰囲気に、すらりと長い脚の凛とした立ち姿。予期せぬ小日向さんの来訪に唖然とした次は呆然。僕はしばしその姿に見惚れる。
 間、小日向さんは黙ったまま、真剣な顔で僕を観察していた。
「あなたが穂村唯くん?」
「え、ええ……」
 昨日会ったばかりでは、と言いかけてその言葉を飲み込んだ。そういや昨日は女の子の格好をしていたっけな。
「そう。思っていた通りだわ」
 小日向さんは真剣な顔から一転、嬉しそうに笑った。学校一の美女と称されるに相応しい笑顔。そんなものを至近距離で見て、僕の脈拍は一気に跳ね上がった。
「え、えっと、何か用ですか?」
「用、というよりはお願いにきたの」
「はぁ、お願い……ですか」
 いったい何か知りませんが、まぁ、僕にできることならやりますけどね。口止め料として。
 それにしても背後から飛んでくる視線が強烈に痛いな。だいたい何が起きているか想像がつくけど。僕はほとんど怖いもの見たさで振り返ってみる。
(ひいぃぃぃっ!)
 全員がこちらを見ていた。
 男子は殺気たっぷりで「なんで小日向さんがお前を訪ねてきて、しかも親しげに喋ってんだ、おい」って感じに。女子は「なんでそんなことになってんのか、後で全部吐いてもらうわよ」と好奇心いっぱいに目を輝かせている。げに恐ろしい光景だ。
「どうかしたの?」
「い、いえ、別に……」
 小日向さんはこの突き刺さるような視線に何も感じないのだろうか。……感じないのだろうな。普段から何かと注目を集める人だし、これくらいでいちいち気にしていたらキリがないのだろう。
「それで、お願いってなんですか?」
「つき合って欲しいの」
「は? それはかまいませんけど……こんな昼休みにどこへ行くんですか?」
 僕としてはここから離れられるのだったらどこだっていいけど。
 すると、小日向さんは少しの間きょとんとした顔で目をぱちくりさせた後、綺麗な長い指で顎をつまんで考え込みはじめた。
 そして、おもむろに――、
「そうね。とりあえず歩きましょ」
 そう言って、くるりと身体の向きを変えた。
(自分から言い出しておいて、行き先を考えていなかったんかい……)
 僕は一度肩をすくめてから、先に歩き出した小日向さんを追った。
 背後から「てめぇ、それはどういうことだっ!」とか「後で覚えてやがれ」とか、物凄い罵声が飛んできた。今日、僕、帰りたくない……。
 
 並んで廊下を歩くと、すれ違う生徒が皆こちらを見た。おそらく小日向さんがよくわからない新入生と一緒に歩いているからだろう。後ろを振り返ってみれば、さっきから同じ顔ぶれがずっとついてきているような気がしないでもない。
 僕たちはひとまず学生食堂を目指すことになった。「何か飲みながらゆっくり話しましょ。奢るわ」とのことだったが、勿論、奢ってもらうつもりはない。
 肩を並べて歩きながら話す。
「唯くんは――」
 いきなり名前で呼んできましたよ、この人。
「学校ではやっぱり普通の格好なのね」
「そりゃ、まぁ……」
 思わず苦笑してしまう。
「学校で女の子の制服着てる男がいたら、とっくにそっちまで噂がいってますよ」
「それもそうね」
 小日向さんって案外考えなしに喋るな。
「実は着たいけど手に入らなかったとか?」
「違いますって」
「わたしのでよかったら貸すわよ?」
「……」
 すっごい嫌。いや、もう何が嫌って、いろいろ考えすぎて答えに詰まった自分がいちばん嫌だ……。
「あのですね、小日向さん」
「かなた」
「はい?」
「わたしの名前。彼方」
 それは知っています。
「彼方って名前で呼んで」
「何で!?」
「できれば呼び捨てで」
「いや、それはおかしいでしょう」
「そう? わたしは気にしないけど?」
「僕が気にします」
「残念」
「……」
 まったくもう……。
「小日向さん」
「彼方」
「こ、ひ、な、た、さん!」
「ちぇ」
「……」
 何で拗ねてんだよ。ほんまにこの人は……
 僕は一度ため息を吐いてから、改めて切り出した。
「僕は別に女装が趣味ってわけじゃないですよ?」
「そうなの?」
「――だと思います」
 小日向さんがあまりにも意外そうに言うものだから、ちょっと自信がなくなった。
「少なくとも女の子の服なら何でもいいってわけじゃなくて、僕が着たいと思った服しか着ません」
「そうなんだ。じゃあ、好みの服がたまたま女ものだったってところ?」
「そこまで自分の正常性を主張するつもりはありませんけどね」
 一般的な感覚に照らし合わせれば、僕が変なやつであることは間違いない。
 そう、間違いはないのだけど……
「やっぱり小日向さんも変だと思います、よね……?」
 確かめずにはいられなかった。
 僕が少なからず憧れる先輩であり、僕の趣味を知られてしまった初めての相手に、僕のことをどう思うのかを。
「そうね、やっぱり変、かな?」
「……」
 だろうな。それが通常の感覚だ。
「でも、面白いわ。わたしは好きよ」
「そ、そうですか……?」
 うわ。顔が熱い。しかも、小日向さんの言葉が頭の中でリフレインしてるし。特に後半。僕という個人を指して言ったんじゃないってのに。
「唯くんは服のチョイスが素敵。きっと自分に似合う服をよくわかっているのね。女の子以上に女の子らしいわ」
「えっと……」
「わたしはああいうのは似合わないから、ちょっと羨ましい」
 確かにひらひらした服よりも、タイトなデニムのパンツルックの方が小日向さんのモデル跣の美脚には似合いそうだ。
 それは兎も角。
 僕の趣味に理解を示すばかりか、ここまで褒められるとは思いもよらなくて、僕は少し唖然としてしまった。さっきから唖然としてばかりだな。
 小日向さんもなぜか無言。
 おかげでそんな義理もないのに何か話題を振らねばと焦って、でも、頭が上手く回らなくて言葉が見つからず。そうこうしているうちに学生食堂に辿り着いた。
「唯くん、何がいい?」
 隅の自販機コーナーを目指しながら小日向さんが訊いてきた。
「いや、いいですよ、そんなの」
「そんなこと言わないで。奢らせて」
「でも……」
 正直言うと、さっきまでお茶を飲んでいたから、あまり欲しくなかったりする。
「ね?」
 お願い、とばかりに笑顔でウィンク。そこまでされてそれ以上の拒絶などできるはずもなく……。
「じゃあ、それを……」
 結局、ブリックパックのカフェオレを頂くことにした。小日向さんも同じものを買い、近くのテーブルへ場所を移す。
 すると、急に周りがざわつきはじめた。言うまでもなく小日向さんと僕が同じテーブルに向かい合わせで座ったからだ。本当に一挙一動が注目を集める人だな。尤も、今は男、つまり僕が一緒だからよけいになのだろうけど。
 気にしても仕方ないので、外野は無視してパックにストローを突き刺す。
「……」
 が、しかし、無視しきれないのがひとり。正面に座る小日向さんだ。じぃ、と僕を見ている。
「な、なんでしょう……?」
「ううん、別に。遠慮しないで飲んで」
 と、掌を差し出し「どうぞ」の動作。
「はぁ……」
 そうは言われてもな。僕が飲むのを今か今かと期待して待っている小日向さんの表情には、どうも引っかかるものを感じる。手品並みの神業で毒でも入れてたりしてな。
「じゃあ、いただきます」
 ちらちらと小日向さんの顔を窺い、正体不明の何かを警戒しつつカフェオレをひと口飲む。
 と――、
 その瞬間、にこー、と小日向さんが笑顔に変わった
「飲んだ? 飲んだわよね、それ?」
「え? ええ、まぁ……」
 捲くし立てるように訊いてくる小日向さん。僕はその勢いに気圧されながら頷いた。飲んだのは確かだ。
「じゃあ、これからわたしのことは彼方って呼ぶこと」
「はいぃ!?」
「勿論、呼び捨てでもかまわないわ」
「なんでそうなるんですか!?」
「だって、飲んだでしょ?」
 小日向さんはあっさりと言う。
「せっかく奢ってあげたんだから、それくらいのお願いは聞いてくれてもいいんじゃない?」
「返しますよ」
 ポケットの財布に手を伸ばそうした僕を、しかし、小日向さんは言葉で制した。
「だめよ、唯くん。失ったものは戻せないわ。いわゆる非可逆性というやつね」
「代替品を用意することはできると思いますが」
「それでもだーめ」
「……」
 たった八十円のカフェオレと引き換えに名前で呼ぶことを強制されるってどうよ? 普通に罠だろ、これ。
 まぁ、抗議しても無駄っぽいけど。
 僕はやけくそ気味にカフェオレを吸い上げた。正面を見れば小日向さんがにこにこと笑顔で、同じようにカフェオレを飲んでいた。鼻唄でも歌い出しそうな調子だ。
 それにしてもこの十数分ほどで、僕が抱いていた小日向さんのイメージが物凄い勢いで崩壊していくな。しかも、やたらコミカルな音を立てて。小日向さんってもっと大人で颯爽としていて、それでいて上品で穏やかな微笑みを絶やさない、そんな人だと思っていたのに……誰だ、目の前にいるこの面白おかしい人は。
「どうしたの? 何か悩み?」
「世の無常を、そこはかとなく、ね」
 あまりのやるせなさに乾いた笑いしか出てこんわ。
「唯くんは――」
「うん?」
「やっぱり男の子の方が好きだったりするの?」
「どうしてそう思うんですか?」
 なんか突拍子もないことを言われているような気がするが、それに驚いたりするよりも、小日向さんの思考がそんなところに到達した経緯が知りたくなった。
「だって、女の子の服が好きだし、だったら心の方も女の子のそれに近いのかなって」
 あぁ、なるほど。そういうことか。
 僕はカフェオレをひと口飲んで、喉を潤してから答えた。
「その辺はいたって一般的ですよ。普通に女の子が好きです。期待に応えられなくて申し訳ないですが」
「ううん。むしろわたしとしてはそっちのほうが好都合」
 と、笑顔の小日向さん。いったい僕は何を求められているのだろう。
「じゃあ、僕からもひとつ訊いていいですか?」
「ええ、どうぞ」
「小日向さんは――」
「か、な、た」
「か、彼方……さんは――」
「うんうん」
「……」
 年上の女の人を名前で呼ぶって、すっごい恥ずかしいものがあるな。
「昨日のあのこと、誰かに言いました?」
 今朝からずっと気になっていたこと。この問題に決着をつけておかないと心が休まらない。しかし、さっきまでの歩いているときとは違い、周りが聞き耳を立てているような気がして、そのものズバリな単語は避けてしまう。
「あのこと?」
「僕の、趣味です」
「あぁ、あれね。誰にも言ってないわ」
「え? どうしてですか?」
 少し意外な気がして、思わず訊き返してしまう。こういうのって誰かに話したくなるのが人情というものじゃないのだろうか。
「どうして?」
 それをさらに小日向さん……じゃなくて、彼方さんが不思議そうにリピートした。
「どうしてって……それを誰かに言って、わたしに何か利益がある?」
「そりゃあ……」
 利益はないけど、話の種にはなるだろう。
「わたしは好きだけど、唯くんの趣味は少し変わってると思うの」
「少しどころか大いに変わってますよ。自分で言うのもなんだけど」
「だったら、人に言わない方がいいんじゃない?」
「……」
 非の打ちどころがないくらい至極まっとうな意見だ。
「でしょ?」
「あ、はい。気を遣わせてしまってすみません」
「いーえ」
 彼方さんは柔らかく微笑みながら、少しだけ可笑しそうに言った。僕はその仕草に大人の受け答えというものを見た気がした。
「やっぱり隠してるんだ」
「そりゃあ、ね」
 女の子の服を見るのが好き、くらいなら許容範囲だと思う。なにせ男のものより華やかだから、見ているだけで楽しい。でも、それを実際に着て、しかも男の反応を窺って楽しんでいるとなれば、変態の必要十分条件を満たしていると言っていい。
「人に言われたら困る?」
「勿論です」
「そっか」
 納得して、彼方さんはカフェオレを口に運ぶ。ひと口飲んで、そして、ストローを口から離し、おもむろに言った。――それは無意識に「明日は晴れかしら?」と口をついて出たくらいのさり気なさだった。
「じゃあ、言っちゃおっかなぁ?」
「え? ちょっ!」
 今までのは何だったんだ!?
 取り乱す僕を尻目に、彼方さんは続ける。
「言いふらして欲しくなかったら――」
 その顔に浮かんでいたのは小悪魔的な笑みだった。
「わたしとつき合って」
「は?」
 思考停止。
 えっと、それはつまり男女の交際をしろ、と?
「いや、いきなりそんなことを言われても……」
「いきなりじゃないわ。今日、最初に会ったときに言ったはずよ」
「ぁ……」
 確かに言っていた。つき合って欲しいの、と――。僕は別の意味に取ったけど。
「だからって……」
「あらぁ? 唯くんってば、まだ自分に拒否権があると思ってるんだぁ」
「へ?」
「あ、もちろん拒否権はあるけど、断ったら大変なことになるわよって意味ね」
「……」
 それじゃないのと一緒だ。
 でも。
「もし僕が」
 でも、たぶんこの人は……。
「それを断ったら誰かに言いますか?」
「勿論」
 一拍おいて。
「誰にも言わないわ」
 彼方さんは微笑みながら言い切った。
 あぁ、これは参ったな。完全に僕の負けじゃないか。
「ねぇ?」
 と、僕に呼びかけてくる。
「聞いてなかったけど――もしかして、わたしのこと嫌い?」
 そして、自信なさげに問う。
 無論、僕が彼方さんを嫌うなどということがあろうはずもなく。
「い、いえ、そんなことは……」
「わたしがつき合って欲しいって言ったら、迷惑?」
「迷惑だなんてそんなっ」
「じゃあ……」
「……」
 上手いよなぁ。押しと引きを見事に使い分けている。反則級だ。
 結局、僕には断る理由はなく、あるのは断れない理由だけ。だったら答えはおのずと一意に決まってくる。
 僕は大きく息を吐き、肺の空気を入れ替えるとともに、気持ちも切り換えた。
「わかりました。僕でよければ」
「ほんと!? よかったぁ」
 彼方さんは満面の笑みを浮かべた。見ているこっちまで何かいいことをしたような錯覚に陥りそうだ。逆に断っていたなら、きっと何もしていないのに犯罪者にでもなったような気分を味わっていたに違いない。
 彼方さんはカフェオレのパックをテーブルに置くと、
「それじゃあこれからよろしくお願いします」
 そう言って丁寧にお辞儀をした。
 こうして出会って二日目にして彼方さんと僕のおつき合いがはじまったのだった。

 
 

明日

明日はかなり遠くの大学病院に行くので、帰ってくるのは夕方です。
日記の更新は夜になると思います。
 
 

本日のweb拍手レス〜♪(22日21:30までの分)

−21日−
21時〜

本当のこと言うと、その捨て猫は知り合いに一晩だけあずかってけれないかと頼まれた猫だったんです。まだ肉球もピンク色で歩行すらままならないような子猫で、チョー可愛かったです!でも、もう私のもとにはいない・・・

 いいなぁ。本当に生まれたばかりの仔猫ですね。見てて飽きなかったでしょうね。何もせずに寝てるだけなのに、不思議といつまでも見ていられるんですよね。

もう九耀って名乗ってんじゃん(笑)

 ま、定番のネタですね。実は名前は覚えているけど、それ以外の記憶はないとかいう、ハードボイルドな設定の猫だったりして。

ちなみに、9月8日は聖母マリアの誕生日でもあります(何

 あ、そうなんだ。教会に通っていたわりには、まったく知りませんでした。覚えておこうっと。

小説サイトを開設しているネコさんですか。となると主人の職業は・・・休職中って所ですか?頑張って欲しいですにゃ

 いえ、休職中なのはそのネコ自身ですね。クヨネコヤマトも長持ちしなかったし、サンタの手伝いもこの時期にはないし。大変です。でも、がんばります。ありがとうございます。

あ、九曜さんと発売日が違うのか。 球磨川の報酬ww面白くてww

 違うとか云々以前に、普通に発売日に発売してるだけですね。明日の球磨川の活躍を楽しみにしておきましょう。
22時〜

取り敢えず新作OGに期待するのはTDの面子の出番を確保する事。いや、アイビスの出番がちゃんとあればもうそれでいい。新しい面子だとMXとかWとかDやらが出てくれれば嬉しいです。MXは元々軍属だからどうにでもできるだろうし、Wはヴァルストークが地球とホワイトスターとの物資運搬用連絡船とかいう設定で何とか出てこないかなぁ……

 アイビスやDは第一報の記事にも出ていたし、登場は確約されていますね。ただ、アイビスアルテリオンに乗り換えて衣装もアルファ2のころのものになっているから、非情に鬱陶しい展開になりそうです。DはMXともども、エールシュバリアー固定なの? サーベラスなの? という不満や疑問がありますね。Wは個人的には出て欲しいけど、全長200メートルのロボットなんていうむちゃくちゃな設定だから難しそうな? やっぱり先にJかな? サプライズとして羽々斬を出してくれないかなぁ、などと。

確かスプラッシュビットは機械的なフォルムじゃなくてスライムのように有機的な形状と動きだった覚えが。あと、米軍の倉庫にはドクペが補給物資としていっぱいあるみたいですよ。シュタゲはアニメで見ると尺の関係で話がすっきりしていいかもしれません。まあほぼラボのシーンばかりという生徒会シリーズもビックリのインドアですが。

 アシュクリーフにそんな有機的なデザインの武器はイメージに合いませんね。ドクペ、本当なんですか? 保存するにしても、なぜにドクペ? 保存料たっぷりで保存に適していたりして(笑 シュタゲのアニメはそんな感じになっているのですね。とは言え、九曜はまだ小説版の序盤を読んだだけなので何とも言えませんが。ただ、生徒会は原作小説を早々に見限りました。あの作品にはあまりいい印象は残っていないのです。

夢で更新されるほど待ち遠しいということですよ。大学のレポートやりながら待ってます(´・ω・`)

 どうにか期待に応えたいとは思っているのですが……。とりあえず、お詫びに男の娘SSの続きを上げてみました。
23時〜

二期は悲しくなるシーンが長いので糖分補給には向いていないので一回しか読めません!!(笑) わりと入り込んで読むタイプなので。 続き楽しみにしてます♪

 確かに気持ちを明るくするには不向きですね(笑 ほんと、すみません。あんな展開で。そのためにも明るくてラブラブな話を書かないとと思っているのですが、なかなか筆が進まないんですよね。
 
−22日−
1時〜

司先輩の話は仕方ないですけどね、ゆこりん先輩とその彼氏さんの話をね……

 あー……、ありましたね、そんなのも。止まったままのあれも、今なら書けるかもっ。……錯覚?(ぇ
14時〜

くよーさんのお友達と思われる黒猫ちゃんが実験用に栽培してる麦にイタズラをして困ってます どうにかしてください…

 その黒猫は確かにお友達ですが、翔子ちゃんに半分飼われてるやつなので、文句は翔子ちゃんにお願いします(何
15時〜

把 疲れましたな マトリョーシカ まさかくよさん さんま

 ……何の暗号?

高菜高菜高菜 高菜を食べるとー 高菜高菜高菜 高菜が白くなるー 高菜高菜高菜 高菜を食べると 九曜九曜九曜 さんの更新があるー 高菜高菜高菜 高菜を食べると 疲れた

 高菜高菜高菜、までは九曜の口からもついて出たことがありますね(笑 その先は続きませんでしたが。とりあえず更新がなくてすみません(汗
20時〜

くよさんをナンパしよう。ホラ、マタタビです

 甘いですね。九曜が好きなのはかつおぶしをかけたご飯なのです。