読了

『舞面真面とお面の女』(野崎まど)、読了。

 

あらすじ

 工学部の大学院生・舞面真面(まいづら・まとも)は、ある日、世話になっている叔父・影面(かげおも)に呼ばれ、邸に赴く。
 そこで頼まれたのは、曾祖父・彼面(かのも)が残した謎めいた言葉の解明だった。
 真面は従姉妹である水面(みなも)とともにその頼みを引き受けることにしたのだが、ほどなくしてふたりの前にお面をかぶった少女が現れ……。

 

今回の作風

作風というよりは、登場人物の思考でしょうか。
真面は工学部だけあって、非常に科学的でロジカルな考え方をします。一方、人文学部民俗学を専攻しているという水面はけっこう感覚的。
 
真面の場合は、今作の重要アイテムである開かない箱を開けてしまうその方法に、彼の考え方が象徴されている気がします。
 
水面は真面に好意を寄せているのですが、真面が院に進んだと聞いて、自分も院に進むことに決めた理由に、彼女の考え方がよく表れていますね。
人が聞けば不合理、自分でも感覚的、でも、彼女にとってはとても重要だったのでしょう。
 
どちらも心底感心させられるシーンで、九曜ももの書きとしてこういう場面が書けたらなと思います。
 

人を超えたもの

今作でも人知を超えたものが出てきます。
 
前作『[映]アムリタ』では尋常ならざる思考と、それを実現してしまう才能を持った少女・最原最早。
『死なない生徒殺人事件』では、永遠の命を持った生徒。
 
それらに相当するのが、お面の女です。
 
見た目は中学生。でも、態度は尊大。
真面らはそんなお面の女と出会い、人を喰ったような振る舞いに翻弄されつつも調査を続けます。
 
やがて真面は彼女こそが曾祖父の謎めいた遺言を解く上でのキィパーソンだと見抜き、見事それ看破してみせます。
 

結末

『死なない生徒殺人事件』と『[映]アムリタ』ですっかり野崎まど先生の作品にはまってしまい、これで読むのも三作目となりました。
 
真面は鋭い推理で謎を解き、実に残念な結末を迎えます。
でも、そこはやっぱり野崎先生。ちゃんとどんでん返しが待っていました。
 
この作品の結末は、完全に怪物に喰われてしまった『[映]アムリタ』とも、怪物に翻弄されてしまった『死なない生徒殺人事件』とも違います。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、言うなれば逆に怪物を喰った、といったところでしょうか。
 
なかなかいい読後感でした。
『[映]アムリタ』の結末に陰鬱な気持ちになった人も多いでしょうが、それはもう忘れて、ぜひとも先生の別の作品も手に取ってほしいところです。
 

本日のweb拍手レス〜♪(24日22:30までの分)

−23日−
23時〜

うちの工学部建築科は女の子多いですね…そして何より超ブラック。半面ガラス張りのおしゃれな建物からは24時間電気が消えることがなく、常に誰かしらは作業をしているという…笑

 ちょっと笑ってしまいました(笑 まぁ、でも、理系の研究室はどこもそんなものじゃないかと。夜行性のやつが本性を現すのは、だいたいその時期だし。女の子が多いだけマシだと思いましょう。
 
−24日−
2時〜

藤真にハゲる呪いを掛けておきます。

 槙坂先輩が嘆くのでやめてあげてください(笑
10時〜

高校のときにみたいに 誤字と思われますっ!

 おおぅ。ですねですね。ってことで、さっそく直しておきました。ありがとうございます。