ネットでよく聞くアレの話

すみません。昨日の日記が下書きのままでした。
気が向いたら見てください。
 
では、本編。
 
 
『訴えると言って訴えなかったら脅迫罪』、
というのはSNSをやっていれば頻繁に聞くのではないかと。
 
先日、かなえ先生の配信でこの話題が出たとき、倫獄先生が言ったんですよ。
『古い判例に、訴える気もないにも拘らず告訴するぞと申し向けたことについて脅迫罪の成立を認めた判例はありまして――』と。
 
気になって調べてみました。
本当に古かったです。
 
なにせ大正13年(1914年)12月の大審院判決ですから。
今から111年前です。
 
正確には『訴える意思がないにも拘らず、相手を畏怖させることを目的として告訴すると通知した行為が、権利行使の範囲を超えた脅迫罪に該当すると判断された』古典判例
平べったく言うと、『やる気がないのに相手をビビらす目的で訴えるぞと言って脅迫罪に問われた』話ですね。
 
これが今でも法律解説などで繰り返し引用されているようです。
ネット上でよく聞くフレーズは、これが独り歩きして変遷したものでしょう。
 
なお、倫獄先生はこうも続けました。
『これ以降そんなにない』。
 
そんなにないということは、いちおう例があるわけで。
どんなものかというと、基本的には「訴えるぞ。さもなくば――」と、何かしら付随しているのです。
 
・金銭の要求(例:○○万円よこせ)
・義務にない行為の強要(例:土下座しろ)
 
などなど。
 
こっちのほうで罰せられています。
つまり有言不実行のみをもって脅迫罪が成立するわけではないのです。
 
面白かったのでもう少し調べてみました。
 
以降はネット上でよくある小競り合いを想定していると思ってください。
粘着行為があり、やられている側がやっている側に「これ以上しつこいと訴えるぞ」と言ったシチュエーションです。
 
さて、言われた側が言った側を脅迫罪で訴えるとしたら、何が必要か?
単なる逆ギレですが考えてみましょう。
 
・訴える意思がなかったことの証明
・畏怖させることを目的としていた証明
 
どっちも主観の話なので非常にハードルが高いです。
まずむり。
 
証明困難なことに加えて、「あなたを訴えます」と言うこと自体が正当な権利行使の告知や、相手の迷惑行為(誹謗中傷、いやがらせなど)をやめさせるための交渉手段として認められやすいのです。
 
また、言った側としては、結果的に訴えなかったとしてもほぼ確実に問題になりません。
告訴の準備や弁護士への相談の記録があれば確実だし、仮にそれらがなかったとしても合理的な判断の末、告訴を取りやめたという主張は認められやすいです。
 
もし相手が警察に駆け込んで、罷り間違って警察が話を聞きにきたとしても、「ウザいけど実害はないので、金と時間の無駄だと思ってやめました」と言えば十分に納得されます。
名誉棄損の裁判が割に合わないのは、今や誰もが知っていることでしょう。
 
なので、正当な理由があるかぎり「訴えます」と言うことや、言ったけどやらなかったことをもってして脅迫罪になることはまずないと見ていいでしょう。
 
ただし、前述の通りよけいなことを付け加えるとアウトです。
 
・金銭の要求はアウト
・「謝罪文を書けば今回は見逃す」はセーフでも、「土下座しろ」はアウト
 
謝罪文や再発防止の誓約書まではぜんぜん問題ないのですが、土下座の要求になると一気に話が変わってきます。
実際、これを要求したことで被害者が一転、加害者に変わって刑事事件化した例もあります。
 
土下座は最初のほうで書いた『義務のない行為』に該当するのです。
さらに土下座動画の公開までいってしまうと未来永劫デジタルタトゥーとして残ってしまうため、裁判所としては『生命・身体に匹敵する人格的利益の侵害』と見なす傾向が強くなります。
 
金銭の要求は当然アウトなのですが、金額まで提示した上での示談の提案とどうちがうのかというと、実はわりと紙一重
 
・言葉遣いが丁寧/乱暴
・要求することに根拠がある/ない
・金額が妥当/法外
 
このへんが示談金での和解と、裁判をちらつかせた金銭の要求を分けている模様。
ちょっとでも感情的になったり、テンプレから外れたり、妥当性を欠いたりすると、その瞬間恐喝に変わる感じですね。
 
なので、金銭の話を出す時点でそれはもう裁判か示談か二択の段階なので、やるなら弁護士を通して事務的に粛々とやりましょう、といったところです。
 
長々と書きましたけど、これにて終了。
法律の素人が興味だけで調べたことなので、話半分に聞いておいてください。
 
……三日くらい日記を休んでいい?