ポッキーの日SS(偽)

「失礼します」
 昼休み、わたしは用があって職員室を訪ねた。
 担任の先生の姿を探し――すぐに席にいるのを見つけた。隣の席の先生と話をしている。
「先生」
「佐伯か。どうした?」
「はい。実はアルバイトをしたいと思い、許可をもらいにきました」
「アルバイト? 三年に上がったこの時期にか?」
 先生は怪訝そうな顔をして聞き返してくる。
 その疑問も当然だろう。水の森高校は進学校。アルバイトは学校に申請し許可さえもらえれば認められているが、三年に上がってからはじめる生徒は少ない。
「えっと、アルバイトというか、家業というか……」
 少しだけわたしの言葉が曖昧になる。
「家業? 佐伯の家は自営業だったか?」
「いえ、違います」
 と、そこでわたしは意を決し、切り出した。
「この三月の卒業した、弓月くんっていましたよね?」
「あ、ああ」
 どことなく先生の相づちは戸惑い気味。
 それもそのはず。弓月くんはこの進学校の水の森にあって大学には進まず、卒業と同時に自分の店を持った前代未聞の生徒として先生の間では有名だ。
「その弓月くんと卒業したら結婚しますので、お店を手伝うのはアルバイトというよりは家業なのかな、と……」
「……」
 
 
 
「というわけで、急きょ職員会議が開かれたので、わたしはまだ帰れません」
『……僕まで呼び出されても困りますからね』
「まーかせて。……あ、あと冷蔵庫のポッキーはわたしのなので勝手に食べないよーに」
『……』

 
よし、この形式なら何でもありだな(何
 
なお、『ポッキーの日SS(真)』はありませんので、変に期待しないように。